【注文住宅】家事動線に優れた間取りの作り方【住宅のプロが徹底解説】

家事は毎日続くもの。少しでも、楽に効率的に取り組みたいですよね。こちらの記事では、家事動線に優れた間取りの作り方を、注文住宅のプロが徹底解説。加えて、実例をもとにした家事動線特化間取りもご紹介致します! 注文住宅での間取り設計にお悩みの方、家事動線に秀でた間取りを知りたい方、必見です!

1.【基礎知識】動線って何のこと?

帰宅後は、手を洗うために洗面所へ。入浴時は、お風呂グッズ・着替えと共に脱衣所へ。お出かけの際には、コートやバッグと共に玄関へ。……こういった人の動きや経路を、線で表したものを動線と呼びます。注文住宅などの一戸建てで、最も注力すべき動線は、ずばり家事動線です。次項で、家事動線に優れた間取り作りのポイントをご紹介します。

2.家事動線に優れた間取りを作る4つのポイント

毎日行う家事と言えば、炊事に洗濯、お掃除。また、炊事に伴う買い出しも欠かせません。これらを円滑に行うには、次の4つのポイントを踏まえた間取り設計が重要となります!

■回遊動線で行き止まりを減らす

回遊動線とは、家の中で行き止まりを無くした ぐるりと回れる動線設計を指します。キッチンを例に挙げましょう。行き止まりにコンロ・キッチンの出入口に冷蔵庫がある場合、炊事中にご家族が行きかうと、お料理の進行や配膳がままなりません。

ワークトップ(作業台)がセンター・壁際にシンクやコンロが配置されていると、最小限の移動で盛り付けや食材の取り出しが叶います。ご家族が冷蔵庫に飲み物を取りに来ても、お子さんが料理のお手伝いをしても、お互い妨げになりません。

■家事のフローを意識する

順番が決まっている家事は、部屋間の移動距離を意識すると動線効率UP! 例えば洗濯は、「脱ぐ・洗う・干す・収納」と、家事のフローが固まっています。家事動線がイメージ出来ていないと、洗濯後は2Fのバルコニーへ移動して干す……。乾いたら寝室やリビングで畳む……。畳んだら各部屋のクローゼットへ……。と、洗濯完了まで家中をあちこち移動することとなります。

■家事の同時進行を前提にする

洗濯機を回しながら料理を作る……リビングでお掃除ロボットを走らせつつ、浴室・洗面台のお手入れも行う……と、マルチタスクで家事をこなす方も多いと思います。キッチンから洗濯機置き場まで距離があったり、浴室・洗面所・トイレといった水回りが分散した間取りだと、家事の同時進行が難しくなります。

■動線に沿った適材適所な収納

「物置き部屋にまとめて収納すればOK」「部屋ごとに収納を作り、それぞれ関連する用品を置けば解決」という訳ではありません。人の動きである動線に沿った効果的な収納配置が、家事動線効率化の鍵となります!

これら4つのポイント全てを、網羅する必要はございません。間取り設計の際、1つだけでも取り入れると、家事動線が格段にスムーズに! 次の項目で、家事動線に特化した間取り実例をご紹介します♪

3.家事ラク間取り①キッチン周辺に回遊動線を取り入れた間取り

こちらの間取りは、キッチン周りに回遊動線を取り入れています。両側からキッチンにアクセス出来るため、多人数のキッチン作業OK。 また、横並びに配置したダイニングテーブルは、料理の配膳・食器のお片付けを途切れることなく叶えます。さらに壁際のパントリーは、食材置き場・食器置き場として重宝するでしょう。

加えて、冷蔵庫そばに設置した勝手口により、買い出し品の運び入れも円滑に。夏場でも、アイスや生鮮食品を速やかに冷蔵庫へ収納可能です。また、キッチンの並びにカウンターを作り、書きものや針仕事といった ちょっとした作業に取り組みやすい環境を実現しました。

4.家事ラク間取り②洗濯フローが効率化された間取り

こちらは、洗濯動線に着目した間取りです。脱衣所で洗濯物を集め、洗濯機へ……。洗濯後は、お隣のドライルームで室内干し作業……。乾いたら、そのままファミリークローゼットへ収納……と、「洗う・干す・しまう」を一連の流れで取り組みOK。バスタオルやシーツといった大判の布製品も、洗濯完了までスムーズに導きます。キッチンとドライルームが隣接しているのも、家事の同時進行に◎

また、洗面所と脱衣所が別に配置されているのも、大きなポイントです。歯磨き・手洗い・洗顔・メイク・髪を乾かすなど……。家族みんなの出入りが多い洗面所を独立させることで、洗濯作業とのバッティングを避けています。

5.家事ラク間取り③水回りがまとまった間取り

こちらの間取りは、1階の左半分に水回りを集結させ、家事動線の効率化を図っています。トイレをあえて1階にだけ配置し、掃除やトイレットペーパーなどの消耗品補充の手間を削減。また、トイレのすぐそばに洗面脱衣所と浴室を配置すると、日々のお手入れを途切れなく効率的に取り組めます。

さらに家事動線効率化を叶えるとしたら、キッチン・リビング・和室の段差を極力減らしましょう! 各部屋の段差を減らすことで、フローリングワイパーでのお掃除はもちろん、お掃除ロボットの活躍も同時に叶えます。

6.家事ラク間取り④適材適所な収納が配置された間取り

動線に合わせて、各所に収納を備えたこちらの間取り。キッチン背面にはオーダーメイドの棚を作り、食品や調理器具・食器の収納に役立てています。散らかりがちなキッチンも、スッキリと整った印象をキープしやすく!

また、玄関周りの収納にも注目。玄関から右へ続くシューズクロークには、靴・雨具のほか、ゴルフバッグや外遊びセットの収納も叶えます。シューズクロークから、そのままアクセス出来るファミリークローゼットは、コートやバッグなどのお出かけグッズ置き場として活用可能です。玄関左のクローゼットは、消耗品や日用品置き場として活躍してくれます。