2022.08.18
【注文住宅】リビングの失敗例から学ぶ! 後悔しないための対策法
「自分の部屋よりも、リビングで過ごす時間の方が多い」そう感じたことはありませんか? 一家団らんを楽しんだり、一緒の空間に居つつ それぞれが自由に過ごしたり……。家族ごと・家庭ごとに、リビングでの寛ぎ方は様々。
そんな憩いの場であるリビングが、間取りひとつ・仕様ひとつ失敗したことにより、ストレスを感じる場となるのは、絶対に避けたいですよね!
今回は、注文住宅におけるリビングの失敗例を紹介するとともに、解決策や対策方法もあわせてご案内いたします。新居に注文住宅をお考えの方も、後悔のない間取り・仕様のリビングを目指したい方も、ぜひご参考ください!
目次
1.そもそも注文住宅って何?
注文住宅とは、土地に間取り、家を建てる時に必要な建築材、内装のデザインなど、ご自身の要望・ご家族のライフスタイルに添って、プランニングする一戸建てを指します。なお、注文住宅の中には、大きく分けて「フルオーダー住宅」と「セミオーダー住宅」の2種類があります。
■フルオーダー住宅とは
家の見た目に内装、間取り、建築材やデザインに至るまで、あらゆる仕様を自由にオーダーしていく注文住宅になります。間取りにこだわれば、家族とのコミュニケーションが取りやすいリビングに。建築材やデザインに力を入れれば、おしゃれな褒められリビングが叶いますよ♪
■セミオーダー住宅とは
ハウスメーカーが事前に、家のスペック・仕様を複数パターン用意します。その中から、家族構成に合った間取りや、生活に必要な設備、お気に入りのデザインを選んでいく注文住宅になります。満足度の高い間取りや、人気のデザイン・仕様を取り揃えるケースが多いため、リビングの失敗も少なく済みますよ!
2.リビングの失敗例①広すぎる! 狭すぎる!
広々としたリビングを目指した結果、他の部屋達が狭くなってしまった……。ソファやテーブルなどの家具類を設置したら、思いのほか窮屈なリビングになってしまった……。
そんな後悔を避けるためにも、一般的な一戸建てリビングの広さを把握しておきましょう!
リビングは、食事を摂るダイニング(D)と 料理をするキッチン(K)と合わせた、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)での設計がスタンダード。LDKの広さは、18畳~20畳が最適と言えるでしょう!
3.リビングの失敗例②吹き抜けに後悔
おしゃれで開放感抜群な吹き抜けのあるリビングは、注文住宅でも人気のある要望のひとつ。しかし、リビングに吹き抜けを作った結果「冷暖房が効きにくくなった」「1階のにおいや音が2階まで届く!」「2階の部屋数が減ってしまった・狭くなってしまった」……といった後悔の声も少なくありません。失敗と対策法を、1つずつチェックして参りましょう!
3-1.リビングに吹き抜けがあると冷暖房効率が悪い?
そもそも吹き抜けは、開放感重視でオーダーされる施工です。上方向への抜け感に加え、吹き抜けの上部に窓を設け、自然光を取り入れるスタイルがほとんど。そのため、吹き抜けのあるリビングは縦に長くなり、部屋の容積が増えます。
そのため夏場、自然光が降り注ぐ吹き抜けリビングは、冷房をつけても冷えにくく……。また冬場は、エアコンで温められた空気が吹き抜けの上部に溜まるため、リビングが温まりにくく……。そんな後悔しかない吹き抜けリビングを、手っ取り早く解消するには、家電選びがキーポイントとなって参ります!
吹き抜けのあるリビングには、リビングの畳数より1つ上の容量のエアコンを選ぶのが正解! 18畳のリビングならば20畳のエアコンを、20畳のリビングなら23畳のエアコンをチョイスすると、効率よく冷やせるでしょう。
さらに、吹き抜けの上部にはシーリングファンが必須だと言えます! 冬場、温められた空気を撹拌(かくはん)し、底冷えの少ない吹き抜けリビングを実現出来ますよ♪ 夏場も、空気の流れを作ることにより、冷房効率UP、ジメジメとした湿気を散らす効果も!
3-2.吹き抜けのある注文住宅は2階の部屋数が少なくなる?
こちらの2種類の間取りをご覧ください。Aは吹き抜けのあるリビング間取り、Bは吹き抜けの無いリビング間取りです。どちらも建築面積(けんちくめんせき)は同じですが、延べ床面積(のべゆかめんせき)と部屋数が異なります。
本来 床のある部分を取り去って作る吹き抜けにより、2階部屋の数・部屋の広さに制限が出てしまうのは事実です。吹き抜けリビングを作りつつ、2階の部屋数・部屋の広さを少しでも確保したい場合は、吹き抜け部分を小さめにオーダーすると後悔が少なく済みますよ!
💡ワンポイント:今さら聞けない! 建築面積・延べ床面積って?
■建築面積とは
建物を真上から見たときの面積を指します。1階部分の床の広さと、同じになるケースがほとんどで、壁や柱といった住宅全体の面積を含んでいます。
■延べ床面積とは
注文住宅各階の床面積を、全て合わせた広さを表しています。実際に住む広さをイメージいただくと良いかもしれません!
3-3.吹き抜けのあるリビングは音やにおいに困る?
1階に居ても2階の子ども達の様子が、2階に居ても1階の家族の状況が、それぞれ感じ取りやすい吹き抜け。そんなメリットの反面、音やにおいも伝わりやすくなります。
リビングに吹き抜けを作りつつ、音やにおいの対策を行うには、腰壁(こしかべ)を工夫し、さらに室内窓を作りましょう!
腰壁とは、床から90cm~120cm程度の高さの壁を指します。手摺(てすり)タイプではなく、壁タイプにするだけでも音の侵入を防ぐ効果が期待出来ます。
また室内窓と呼ばれる屋内に作る窓は、採光に優れ、音やにおいの漏れ・侵入を防ぎます。後悔の少ない吹き抜けリビングを実現可能に!
なおハウスメーカーによっては、注文住宅をオーダーの際、においを分解する独自の加工を行ってくれる会社や、防音扉を施工してくれる会社もあるようです。
💡ワンポイント:吹き抜け以外で開放感のあるリビングを叶えるには?
開放感のあるリビングは、吹き抜け以外でも実現可能です! 梁(はり)を見せた天井や、屋根の傾斜に合わせた勾配天井(こうばいてんじょう)は、上方向へ視界を広げます。2階建てはもちろん、平屋建てにも取り入れ可能なオススメの施工ですよ♪
4.リビングの失敗例③リビング階段の位置が悪い・圧迫感がある
リビングの中に作る、リビング階段。階段用のスペースを必要としないため、限られた土地でも空間を有効活用し、2階へ上り下りする家族の顔も見えるため、近年注目を集めています。
ですが、リビングにゲストが居ると1階へ降りにくかったり、階段によりリビングに圧迫感が生まれたりと、後悔の声が上がることも! リビング階段での失敗を避けるには、間取りと階段のデザインにトコトンこだわりましょう!
こちらの間取りは階段がキッチン側にあるため、ゲストがリビングに居ても目に触れにくい利点があります。階段を降りてすぐに洗面脱衣所があり、身支度も◎ お寝坊しても、お客様とパジャマのままバッタリ! なんて心配が少なく済みますね!
また、階段のデザインも重要です。壁を無くしたり、ステップと骨組みだけで作られたスケルトン階段を用いると、開放的なリビングを演出出来ますよ!
5.リビングの失敗例④日当たりに難アリ
明るさと引き換えに、夏場は暑いリビングになってしまった……。日当たりの悪い時間・季節は、寒々しく薄暗い印象のリビングになってしまった……。リビングからの眺めを優先したら、日当たりの良し悪しで冷暖房費が余計にかかる……。せっかくの注文住宅で、そんなリビングになってしまったら後悔しか無いですよね。
東西南北、リビングの位置する方角ごとの一長一短を知り、それぞれの対策法を踏まえておきましょう!
5-1.スタンダードな南向きリビングは暑くて眩しい
1日を通して・1年を通して、採光に恵まれる南側は、リビングの設計場所として最も人気。ですが 日照時間が多い反面、夏場は、暑さ・太陽の眩しさ・太陽光による家具・床の傷みが懸念されます
南向きリビングで快適に過ごすためには、夏場の直射日光対策が重要! 注文住宅設計時に、軒(のき)を深く取る、あるいは庇(ひさし)を作るなど、日光を遮る屋外仕様を依頼しましょう。
「でも日除けを作ったら、冬場の日当たりが不安……。」なんてお考えの方、ご安心下さい! 太陽は季節ごとに、通り道が決まっています。
夏場、太陽は高い空を通るため ほぼ真上から光が降り注ぎます。それに対し冬場は、低い空を通過するため、斜め方向から太陽光が当たります。そのため、夏は真上からの日差しを軒・庇で避けつつ、冬は斜めからの日光を享受出来るんです!
5-2.東向きリビングは昼以降は暗い……
朝日が差し込み、1日をさわやかにスタート出来る東向きリビング。昼から夕方にかけて太陽が傾くため、夏場の午後は室温が上がりにくいといった利点もありますが、お昼以降は日差しが入って来ず暗いリビングになる可能性も!
そんな東向きリビングには、メインの窓以外に明り取りの窓を設置するのがオススメ! サイズは小さめでも構いませんので、採光用の窓を作ると、午後以降も明るい東向きリビングを実現出来ますよ♪
5-3.西日が辛い西向きリビング
東向きリビングとは反対に、西向きリビングは昼から夕方にかけて採光に恵まれます。土地によっては夕日が見られ、日照時間の少ない冬場も日光による温かさを実感出来るのがメリット。しかし夏場は、長時間西日に照らされるリビングとなります……。
西向きリビングは、窓周りの日差し・熱対策に力を入れましょう!
窓は、2重サッシや3重サッシといった熱を室内まで伝えにくいタイプ、あるいは熱を吸収・反射するガラスを採用し、西日への対策を行うと◎。加えてカーテンは、遮光・遮熱といった直射日光に対処したものを選ぶのがオススメです!
高い場所に位置する窓の場合、細長い板を均等に並べた屋外ルーバーで室内への日差しを緩和させたり、室内側に電動ブラインドを取り付け直射日光を遮ると、西向きでも快適なリビングとなりますよ!
5-4.北向きリビングはデメリットしかない?
日当たりが悪く、暗い印象の北向きリビング。しかし、直射日光が入り込みにくい分、夏場でもリビング内の温度が上がりにくく、家具や床の日焼けも少ないといった利点も持ち合わせています。
そんな北向きリビングで重要視すべき点は、採光です。吹き抜けや高い位置の窓など、上方向から自然光を取り入れる設計にすると、暗い印象を払拭可能に。リビング階段の途中や、2階から手の届く位置に窓を作ると、メンテナンス面も安心ですね♪
それに加え、リビングに大きな窓を設けるのもオススメです! 直射日光の影響が少ないため、夏場にカーテンを開けていても暑さ・眩しさを感じにくく、開放的なリビングを実現出来ます。
💡ワンポイント:方角問わず快適なリビング・住まいを叶えるには?
東西南北どの位置でも快適なリビング、ひいては過ごしやすい住まいを叶えるには、断熱性能・気密性能に着目した家づくりを行うことが肝要です!
■断熱性能のチェックポイント
注文住宅の快適さを左右する、断熱性能。断熱材を壁内部に施工していても、柱部分が断熱材で覆われていなかったり、断熱材どうしにスキマがあると、暑さ・寒さを感じやすい住宅になってしまいます……。
そこでチェックいただきたいのが、UA値(ユーエーち)。「外皮平均熱貫流率(がいひ へいきん ねつかんりゅうりつ)」を正式名称としており、家の中から外へ逃げる熱を数値で表したものを指します。断熱性能の高い家は、UA値0.46以下だと言われています。
■気密性能のチェックポイント
せっかく断熱性能にこだわっても、窓周りや壁・床の継ぎ目、コンセント周辺など、家のスキマが多い状態だと断熱効果が不十分に……。断熱性能とともに、気密性能にもこだわりましょう!
住宅における気密性とは、スキマを無くし、室内と外の空気の出入りを極力減らした状態を指します。住まいのスキマは「C値(シーち)」と呼ばれる「相当隙間面積(そうとう すきま めんせき)」で表すことが出来、C値1.0以下が気密性の高い家だと言われています。
断熱性能・気密性能ともに高い住まいは、冷暖房の温度設定が控え目で済んだり、エアコンが各階に1台だけで済んだりと、光熱費節約の嬉しい効果も! 高断熱・高気密を掲げるハウスメーカーに、UA値やC値の数値を確認した上で家づくりに励むと、夏の暑さにも冬の寒さにも負けない 快適なリビング・住まいを実現出来るでしょう♪
6.リビングの失敗例⑤外からの視線が気になる…
くつろぎを求めたいリビング。しかし、外からの視線が気になるリビングだと、落ち着くことも難しいですよね。かと言って、カーテンやシャッターを閉め切ったままで過ごすのも考えもの……。
そんな後悔をしないためには、間取りに注力しましょう!
ロの字やコの字といった間取りの注文住宅は、中庭を囲うようなつくりをしているため、道路側の窓を減らしつつ採光も確保出来ます! 外からの視線が入りにくくなり、庭へのアクセスも限られるため、防犯効果もあわせ持ちます。
7.リビングの失敗例⑥収納が足りない!
家電のリモコン類や、雑誌に新聞・郵便物、防災グッズに掃除用品、お子さんの学校用品や遊び道具、それら諸々を収納する家具達……。暮らしていく中で増えていく品々により、雑多な印象となったリビングに後悔する方、多くいらっしゃいます。
そんな失敗を防ぐには、注文住宅依頼時に収納を多めに作っておくのがベター!
まずは造作棚(ぞうさくだな)。つくり付けのオーダーメイド収納を指し、高さや幅も細かく注文可能です! 壁面収納を造作棚にすると、収納としても飾り棚としても活用出来ますよ♪
さらにリビング階段がある間取りの場合、階段下収納を設けましょう! 壁を無くしたデザインにすると、圧迫感を感じずリビングの開放感も保てます。
リビング横にタタミスペースなどの小上がりを設計するならば、一緒に引き出し収納も依頼しちゃいましょう! 収納たっぷりな奥行きのある引き出しは、お子さんでも引き出せるスライドタイプにすると利便性UP♪
また、リビング脇にファミリークローゼットを作るのもオススメです! 急な来客時、お子さんの遊び道具の一時退避場所として……。掃除用品や防災グッズなど、必要ではありますが目立たせたくない品々の置き場として……。ファミリークローゼットで管理・収納することで、スッキリと片付いたリビングをキープ出来ます。
リビングの失敗例①広すぎる! 狭すぎる!
💡対策方法:注文住宅のリビングの広さは18畳~20畳が最適
リビングの失敗例②吹き抜けがあると冷暖房効率が悪い……。
💡対策方法:容量大き目のエアコン&シーリングファンで解決!
リビングの失敗例③吹き抜けを作ったら2階が狭くなり後悔
💡対策方法:吹き抜け部分を小さめに作るのが正解
リビングの失敗例④吹き抜けにより音やニオイが気になる
💡対策方法:腰壁・室内窓で音もニオイも伝わりにくく
リビングの失敗例⑤リビング階段の位置が悪い、圧迫感がある
💡対策方法:リビングの端に階段を作る・デザインに注力し開放感UP
リビングの失敗例⑥日当たり良すぎて暑い・日当たり悪くて暗い
💡対策方法:東西南北、どの位置でも一長一短あり。暑さ・寒さには断熱性能と気密性能にこだわると◎
リビングの失敗例⑦外からの視線が気になる…
💡対策方法:ロの字・コの字間取りでプライバシーを保つ
リビングの失敗例⑧収納が足りない!
💡対策方法:造作棚(ぞうさくだな)・階段下収納・ファミリークローゼットをオーダー
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津田 洋平(一級建築士)
悠悠ホーム株式会社 建築プランナー
家は、お客様にとっては人生最大のお買い物。
建築プランナーの仕事はそんなマイホームに託すお客様の「夢」を図面化すること。
打合せの際には、建築士としてのプロの目と、住む人の目線に立って考えることを大切にしています。
満足いただけるよう一軒一軒が真剣勝負だと思って、ご提案とご説明を尽くすことを心掛けています。
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