2022.11.24
【注文住宅】知っておきたい土地探しのコツ【家づくりのプロが解説】
家づくりをスタートさせた方にとって、最初のハードルとも言える土地探し。コツやツボが分からないまま土地探しを始めてしまうと、情報収集・比較検討だけで、多くの時間と労力を費やしてしまいます。
今回は、家づくりのプロが教える土地探しのコツをご紹介! 注文住宅でのマイホームづくりを考えている方も、土地探しに疲れてしまった方も、ぜひご参考ください。
1.土地探しのコツ①希望条件に優先順位をつける
希望条件の優先順位をつける……とは申し上げましたが、ご夫婦間でも土地への要望はそれぞれ。そこで、多く寄せられる「土地へのリクエスト」をリストアップ致しました! 希望条件の洗い出し用に、ぜひご活用ください♪
特に重要視されるのは、日当たりや土地のサイズ。加えて、土地周辺の交通量も、暮らしやすさに直結します。大通りや幹線道路に近いと、マイカー通勤に便利な反面、音や交通トラブルの面で懸念が残ります。逆に交通量の少ない土地だと、注文住宅に接する道路(前面道路)が狭いケースもあり、駐車や車のすれ違いに難儀する可能性も! また坂道途中の土地は眺めが良い一方で、傾斜次第で自転車やベビーカーの移動に苦労するかもしれません。
お庭やウッドデッキのある注文住宅をご希望の場合は、それらの位置取りも考慮した土地探しが重要となります。区画分けされた分譲地ならば、広さ・価格面で、折り合いをつけなければならないケースも……。形が整っている土地ならば、注文住宅の形状・間取りの変更が少なく済み、高低差の無い土地でしたら造成工事が減らせるでしょう。出入り口部分が細長い旗竿地(はたざおち)だと、水道や電気の引き込み作業の可能性があり、古い家の建っている土地ならば、 解体作業が必要となります。
土地周辺のインフラが整っていないと、長く快適に暮らすことは難しいと言えます。 スーパー・コンビニといったお店、病院などの医療施設、市役所などの公共施設へのアクセスの良さを条件にする方も! お子さんの教育を最優先とするならば学区を基準に、ご夫婦の通勤・お子さんの通学をスムーズに行いたいならば、駅やバス停への距離を条件に加えると良いでしょう。
災害に備えるならば、ハザードマップや防災マップを基準にした土地探しを……。治安の良さを重視するならば、犯罪情報マップや交通事故発生マップをベースにした土地探しとなります。公園・自然の近い土地や、子育て支援の手厚い地域だと、お子さんの成長にも◎ ご実家の近くの土地を条件にすると、ご実家・義実家の「もしも」に備えられるでしょう。
現時点で優先順位を決めきれない場合は、いくつか土地を下見した後に、求める条件を設定していくのも◎百聞は一見に如かず……様々な土地を見学すると、土地ごと・地域ごとの一長一短が分かり、土地への知識も深まります。 より、納得のいく土地に巡り会いやすくなるでしょう♪
💡ワンポイント:ライフステージの変化を踏まえて土地を探すのもオススメ
お子さんが居ない場合は、通勤のしやすさや、資産価値として土地の広さを重視。出産予定がある・お子さんが小さいならば、公園や自然のある土地、あるいは学区や子育て支援を軸にした土地を。お子さんが大きかったり ご夫婦の終の棲家とするならば、医療施設や公共交通機関にアクセスしやすい土地を……。
注文住宅で家を建てるタイミングによって、暮らしやすい土地・地域も変わって参ります。ライフステージの変化を加味して、土地探しやエリアの絞り込みを行うのもオススメです!
2.土地探しのコツ②土地ごとのルールや制限を知る
土地さえあれば、どんな注文住宅でも建てられる……という訳ではありません。都道府県や自治体・建築基準法などにより、エリアごと・土地ごとに細かなルールや制限が設けられています。土地探しをスムーズに行うためにも、予備知識として把握しておきましょう!
■街づくりルールに盛り込まれる用途地域
建物の種類・高さ・大きさなどに制限をかけることで、計画的な街づくりを行い、誰もが住みやすい環境を整える、用途地域。都市計画区域内・準都市計画区域内を対象に、主に自治体(市町村)にて定められています。用途地域を知ると、今後どういった街並みになるのかまで予測可能に! 長く・安心して暮らせる土地を見極める際に、大きな判断材料となるでしょう!
合計13タイプある用途地域ですが、この内、注文住宅をはじめとした一戸建て向けの住居系用途地域は、8タイプとなります。田園住居地域・第一種低層住居専用地域が のどかで静かなエリアに対し、第二種住居専用地域・準住居地域は賑やかなエリアとなります。
住居系以外だと、商業系用途地域が2タイプ・工業系用途地域が3タイプとなり、これらが近いと、住環境・暮らしやすさが様変わりします。用途地域は各自治体の窓口で調べることが出来ますので、地域やエリアの候補を絞るのにも、重宝するデータだと言えますね♪
■日当たりや風通し、防災のために必要な建ぺい率
「その土地に対して、どの割合まで建物を建てていいか?」を示した数値である、建ぺい率。建物が地面に触れる範囲……と、考えていただくと分かりやすいかもしれません! 建ぺい率は、注文住宅などの一戸建てに限らず、商業ビルなどにも適用され、エリアごと・あるいは先述の用途地域ごとに、細かく設定されています。
仮に建ぺい率が無い世界だと、周囲との距離間を気にせずに家を建てることが出来ます。そんな家々が密集した状態だと、日当たり・風通しの悪化は元より、プライバシーの確保さえ心もとなく……。さらに、火事が発生すれば延焼、地震が起きれば家屋が将棋倒しに……と、甚大な被害に至りかねません! 快適な環境のために、災害による被害を抑えるために、建ぺい率が定められているんですね。
■人口コントロールのために設定される容積率
容積率は「その土地に建てることの出来る、延べ床面積(のべゆかめんせき)の割合」を指します。建ぺい率が平面だったのに対し、容積率は立体的な制限と 踏まえると◎日当たり・風通しを確保するのはもちろん、人口をコントロールする目的で、容積率が設定されています。
もし容積率が無かったら、建物を好きなだけ高く・大きく作ることが叶います。建物が高く・大きくなると、そこに住める人数も増えます。すると、電力の供給が追いつかない・上下水道がパンクするといった、インフラ面で弊害が起こる結果に! 誰もが暮らしやすい街にするため、容積率がルール付けされているんですね。
💡ワンポイント:用途地域ごとの建ぺい率・容積率
建ぺい率と容積率は、用途地域別に比率が決まっています。組み合わせは様々ですが、用途地域ごとに、建物の大きさ・高さを制限することが目的となります。
第1種低層住居専用地域・田園住居地域・第2種低層住居専用地域の3タイプは、建ぺい率・容積率の制約に加え、建物の高さも10m・もしくは12mまでとなります。お店も小規模かつ特定の業種に限られますので、静かな住宅地となり、マイカーによる移動がメインとなるでしょう。
第1種中高層住居専用地域・第2種中高層住居専用地域の2タイプは、容積率が増えた分、3階建ての住居も建設可能となります。また、スーパーや飲食店といった各店舗に加え、病院や大学も建ててOKなエリアです。住環境バランスが、程よく整った地域と言えるでしょう。
第1種住居専用地域・第2種住居専用地域・準住居地域の3タイプは、建ぺい率・容積率の割合が大きく変わるため、多種多様な店舗と集合住宅・一戸建てが混じり合う地域となります。第1種住居専用地域では大規模なマンションがOKに、第2種住居専用地域ではホテル・パチンコ店・カラオケ店が建ち、準住居地域では映画館・自動車関連施設など……。利便性の高いエリアだと言えるでしょう!
3.土地探しのコツ③注文住宅総予算から考える
土地探し・土地選びは競争……。とは言っても、注文住宅の総予算を決めないまま、あるいは住宅ローンで借り入れ可能な金額を知らないまま、土地探し・土地選びを行うのはリスキーな方法です。
注文住宅を建てるには、土地代以外に3つの費用が発生します。この内、大部分を占めるのが家本体の価格となる建築費用です。土地の購入だけ先に進めてしまった結果、注文住宅本体にお金をかけられない……なんて後悔の声も少なくありません。加えて、駐車場やお庭といった注文住宅の外側にまつわる付帯工事費用や、不動産登記・保険料などの諸費用により、予算オーバーとなる可能性も……!
ほとんどの方にとって、注文住宅での家づくりには予算上限があります。注文住宅の予算プランを設定する、もしくは住宅ローンの仮審査を通過した後に土地探しを行うと、思わぬ予算オーバーやマイホームへの妥協を防ぐことが叶うでしょう。
💡ワンポイント:100点満点の「良い土地」って存在するの?
希望条件にピッタリで、周辺の住環境も申し分ない土地……。そんな土地に巡り会う可能性もゼロでは無いですが、多くの場合、価格・広さで断念することとなります。いわゆる立地の良い土地は、多くの人が買い求めるため競争率が高く、広さの確保も望み薄。万が一じゅうぶんな広さで販売されていたとしても、予算オーバーとなる恐れが高いでしょう。
立地も広さも価格もパーフェクトな、夢のような土地を探し求めた結果、注文住宅での家づくりが何年も進まない……。なんて事態を避けたいならば、70点~80点の土地も候補に入れると◎土地への優先条件を判断材料としつつも、予算との折り合い・注文住宅プランとの兼ね合いも含めて、土地探し・土地選びにあたりましょう!
土地に対する主な条件をリストアップし、土地・エリアごとのルールや制限の解説、さらに注文住宅の総コストとの兼ね合いなどをご説明致しました。土地を探すにあたって、こちらのコラムでご紹介しているコツを踏まえておくと、満足度の高い土地に出会いやすくなるでしょう!
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【“注文住宅” 関連コラム】
津田 洋平(一級建築士)
悠悠ホーム株式会社 建築プランナー
家は、お客様にとっては人生最大のお買い物。
建築プランナーの仕事はそんなマイホームに託すお客様の「夢」を図面化すること。
打合せの際には、建築士としてのプロの目と、住む人の目線に立って考えることを大切にしています。
満足いただけるよう一軒一軒が真剣勝負だと思って、ご提案とご説明を尽くすことを心掛けています。
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